『完全自殺マニュアル』は未成年でも買える?18歳未満への販売規制と書店で手に取れる理由を解説

全般

鶴見済著『完全自殺マニュアル』は1993年に刊行され、その内容をめぐって長年議論されてきた書籍です。現在も書店や古書店などで見かけることがありますが、「18歳未満は購入を控えてください」といった表示がある一方、普通の本棚に置かれているケースもあるため、未成年者が購入できるのか分かりにくいことがあります。

結論を先に整理すると、『完全自殺マニュアル』を18歳未満に販売できるかどうかは、購入する地域の青少年健全育成条例による指定や、書店側の販売方針などを確認する必要があります。全国一律に「書名だけを理由として、すべての都道府県で18歳未満への販売が法律上禁止されている」と単純化するのは正確ではありません。

実際、神奈川県では『完全自殺マニュアル』が有害図書類として個別指定されており、県が公開している一覧にも掲載されています。したがって、「棚に置いてあるから未成年でも必ず買える」と判断することもできません。[神奈川県・有害図書類個別指定一覧]

『完全自殺マニュアル』は全国一律の「18禁書籍」なのか

まず理解しておきたいのは、日本では書籍について「この本は全国どこの書店でも18歳未満には販売禁止」という仕組みだけで規制されているわけではないことです。青少年に対する有害図書類の販売規制には、各都道府県の青少年健全育成条例が大きく関係しています。

例えば東京都では、都知事が条例に基づいて指定した図書類について、18歳未満の青少年への販売・貸付けなどが禁止されています。警視庁も、著しく自殺や犯罪を誘発するなどして青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるものとして指定された図書類について、販売業者が青少年へ販売・貸付けをしてはいけないと説明しています。[警視庁・東京都青少年健全育成条例の概要]

したがって、本に「18歳未満は控えてください」という趣旨の表示があることと、その地域の条例によって18歳未満への販売が法的に禁止されていることは、必ずしも同じ意味ではありません。

神奈川県では『完全自殺マニュアル』が有害図書類に指定されている

具体例として分かりやすいのが神奈川県です。神奈川県が公開している「有害図書類一覧(個別指定)」には、書籍『完全自殺マニュアル』、発行所「株式会社太田出版」、指定日「平成11年10月22日」と明記されています。[神奈川県公式資料]

神奈川県の審議会資料でも、過去に『完全自殺マニュアル』など社会的に注目された書籍を個別に有害図書として指定したことが説明されています。[神奈川県公式・審議会資料]

このように、同じ本であっても「どこの都道府県にある書店なのか」が重要になります。購入できるかを確実に知りたい場合は、その都道府県の有害図書指定と書店の販売ルールを確認する必要があります。

「18歳未満は控えて」と「18歳未満には販売禁止」は意味が違う

本や帯、店頭表示などに「18歳未満の購入はお控えください」「18歳未満には販売いたしません」といった文言が書かれていることがあります。一見似ていますが、文言だけから法的な位置付けを判断することはできません。

例えば出版社や販売店が自主的に年齢制限を設けている場合があります。一方、自治体の条例に基づいて有害図書類として指定され、その地域で青少年への販売が禁止されているケースもあります。

そのため、帯に注意書きがあるから全国一律で法律上購入禁止とも、逆に普通の棚に置いてあるから自由に購入できるとも断定できません。購入場所と具体的な指定状況を確認することが必要です。

普通のサブカルチャーコーナーにあったら未成年でも買える?

ここは特に誤解しやすい部分です。書店の一般的な棚やサブカルチャー関連コーナーで実際に手に取れたとしても、それだけで「18歳未満への販売が認められている」とは判断できません。

自治体によっては、有害図書類について販売制限だけでなく、包装や区分陳列についても規定があります。例えば東京都では条例上の指定図書類について、18歳未満への販売等を禁止するとともに、包装や他の図書と区別した陳列を求めています。[東京都・指定図書類の取扱い]

もし条例上販売できない本が不適切な場所に陳列されていたとしても、「店頭で手に取れた」という事実によって年齢制限そのものがなくなるわけではありません。レジで年齢確認を求められたり、販売を断られたりする可能性もあります。

都道府県によって扱いが異なる理由

青少年健全育成条例は各都道府県が制定しているため、有害図書類の指定方法や対象には地域差があります。ある県で個別指定されている書籍が、別の都道府県でまったく同じ方法によって指定されているとは限りません。

例えば神奈川県では『完全自殺マニュアル』が書名を挙げて個別指定されています。一方、別の自治体では指定の仕組みや対象となる図書が異なることがあります。

したがって、「友達が別の県で買えた」「ネットで未成年でも買えたという人がいた」といった情報だけで、自分の地域でも同じ扱いになるとは判断できません。

書店独自の自主規制もある

条例とは別に、出版社、取次会社、書店などが自主的な販売方針を設けることもあります。その場合、法令上の扱いだけではなく、その店舗のルールによって販売を断られる可能性があります。

例えば、店舗側が特定の商品について「18歳未満には販売しない」と決めているなら、その書店ではそのルールに従うことになります。セルフレジがある店舗でも、対象商品ではスタッフによる年齢確認が必要になるケースがあります。

確実なのは、レジへ持って行って購入を試みることではなく、店員に「この本は18歳未満でも購入できますか」と事前に確認することです。購入者の所在地ではなく、実際に販売が行われる店舗の地域や店舗規則が関係するためです。

有害図書に指定されると「所持」まで禁止されるのか

有害図書類については、「販売の制限」と「持っていること」を混同しないことも重要です。青少年健全育成条例では一般に、販売業者が青少年へ販売・貸付けする行為や陳列方法などについて規制しています。

例えば東京都の説明では、指定図書類について販売業者等が青少年に販売・頒布・貸付けをしてはいけないことなどが示されています。[警視庁]

ただし条例の具体的な規定は地域によって異なるため、「有害図書」という言葉だけから全国共通のルールを推測しないことが大切です。

『完全自殺マニュアル』の内容には注意が必要

『完全自殺マニュアル』は、自殺を題材として具体的な記述を含むことで知られる本です。そのため、単なる一般的なサブカルチャー本と同じ感覚で読むことには注意が必要です。本記事では安全上の理由から、本に記載されている具体的な自殺方法や致死性などについては紹介しません。

興味本位で書籍の歴史や社会的論争を知りたいのであれば、実物の具体的な方法を読む以外にも、出版史、表現の自由、有害図書指定をめぐる議論などを扱った資料から調べる方法があります。

また、自分自身の死について考えているためにこの本を探している場合には、本に書かれた方法を試したり一人で抱え込んだりせず、身近な信頼できる大人、学校の先生・スクールカウンセラー、医療機関などへ相談してください。差し迫った危険がある場合は119番など緊急の支援につながることが優先です。

未成年が購入できるか調べる一番確実な方法

まず、本を見つけた書店が所在する都道府県を確認します。次に、その都道府県の公式サイトで「青少年健全育成条例」「有害図書」「指定図書類」などを確認します。自治体によっては、指定された書籍の一覧を公開しています。

そのうえで、書店へ「この本は18歳未満への販売対象になっていますか」と確認すれば確実です。身分証明書による年齢確認を求められる可能性もあります。

「普通の棚に置いてある」「ビニール包装されていない」「自分で手に取れた」という条件だけでは、購入可能かどうかを判断できません。陳列状況と販売できる年齢は分けて考えましょう。

まとめ:『完全自殺マニュアル』を未成年が買えるかは地域と店舗ルールを確認

『完全自殺マニュアル』について、「18歳未満なら日本全国どこでも絶対に購入できない」「普通の棚に置いてあるから未成年でも必ず購入できる」というどちらの説明も正確ではありません。青少年向けの有害図書規制には都道府県の条例が関係し、さらに書店独自の販売方針が設けられている場合があります。

実例として、神奈川県では『完全自殺マニュアル』が1999年10月22日付で有害図書類として個別指定されています。県が公開している指定一覧でも現在確認できます。[神奈川県公式資料]

また東京都では、条例に基づいて指定された図書類について、18歳未満への販売・貸付け等を禁止し、包装・区分陳列などのルールを設けています。[東京都公式]

したがって、帯に年齢についての注意書きがある本を一般のサブカルチャーコーナーで見つけた場合でも、棚の置き場所だけで購入可否を判断せず、その地域の有害図書指定と書店の販売方針を確認するのが最も確実です。

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