小風さちさんが文、山口マオさんが絵を手がけた『わにわにのおふろ』は、福音館書店から刊行されている幼児向け絵本です。迫力のあるワニが表紙に描かれているため、一見すると少し怖そうに感じるかもしれません。しかし中身は、お風呂が大好きな「わにわに」が自分なりに入浴を楽しむ、ユーモラスで親しみやすいお話です。
福音館書店では2才~の絵本として案内されており、現在のハードカバー版は税込990円です。もともとは月刊絵本『こどものとも年少版』2000年6月号として発表され、その後2004年に単行本化されました。[福音館書店・関連書籍情報]
特におすすめしやすいのは、2~4歳くらいの子どもへの読み聞かせ、お風呂を題材にした絵本を探している家庭、擬音・擬態語を声に出して楽しみたい場合です。一方、かわいらしい動物だけが登場する絵本を好む子の場合は、山口マオさんによるリアルで力強いワニの絵に最初は驚く可能性があります。
『わにわにのおふろ』はどんな絵本?
主人公の「わにわに」は、その名前どおりワニです。わにわにはお風呂が大好きで、自分でお風呂場へ行き、蛇口をひねってお湯をため、お湯につかります。
そこから、おもちゃを浮かべて遊んだり、せっけんの泡を楽しんだり、シャワーをマイクのようにして歌ったりします。そして十分に温まったらお風呂から出て、最後には身体を拭きます。
つまり大事件が起こる冒険物語ではなく、「ワニが普通にお風呂へ入る」という日常そのもののおかしさを楽しむ作品です。子ども自身が毎日経験している入浴が題材なので、幼児にも状況を理解しやすいのが特徴です。
おすすめポイント1:怖そうなワニと行動のかわいらしさのギャップ
『わにわにのおふろ』の大きな魅力は、主人公を必要以上にかわいいキャラクターへデフォルメしていないところです。山口マオさんの木版画によるわにわには、身体が大きく、表情にも迫力があります。
ところが、その迫力満点のワニがやっていることは、子どもとあまり変わりません。お風呂へ入り、おもちゃで遊び、泡で遊び、機嫌よく歌います。
「見た目はちょっと怖いのに、やっていることは妙にかわいい」というギャップが笑いにつながります。絵本ナビでも、木版で描かれたワニの迫力と、楽しそうに入浴する愛嬌の対比が作品の魅力として紹介されています。[絵本ナビ・作品紹介]
おすすめポイント2:声に出すと楽しい擬音・擬態語
この作品は、黙読するだけでなく大人が声に出して読むことで魅力が増す絵本です。蛇口やお湯、身体の動きなどを、独特の擬音・擬態語で表現しています。
文章そのものがリズミカルなので、読み聞かせでは擬音の部分だけ少し声色を変えたり、テンポを付けたりできます。子どもが気に入ると、繰り返し読むうちに音を覚えて、大人と一緒に声を出す楽しみ方もできます。
幼児向け絵本では、ストーリーを理解することだけが楽しみではありません。耳から聞いた音の面白さ、ページをめくったときの絵、繰り返しのリズムなども重要です。『わにわにのおふろ』は、この「音で楽しむ読み聞かせ」と相性のよい作品です。
おすすめポイント3:お風呂という身近なテーマ
2~3歳くらいの子どもにとって、お風呂は非常に身近な出来事です。そのため、わにわにがお湯につかったり、身体を洗ったりする場面を、自分自身の経験と重ねながら見ることができます。
例えば読み終わった後に「わにわにみたいにお風呂に入ろうか」と声をかければ、そのまま日常生活の会話へつなげられます。
もちろん、この本を読めば必ずお風呂嫌いが直るというものではありません。しかし、お風呂に対して楽しいイメージを作るきっかけとして使いやすい絵本ではあります。
何歳からおすすめ?出版社の目安は2歳から
福音館書店では『わにわにのおふろ』を2才~の絵本として案内しています。また絵本ナビの商品情報でも出版社おすすめ年齢は2歳~とされています。[作品情報]
2歳前後であれば、ストーリーの細かな意味をすべて理解できなくても、ワニの絵やお風呂の場面、繰り返される音を楽しめます。3~4歳になれば、「怖そうなワニなのに楽しそう」というユーモアもより分かりやすくなるでしょう。
年齢はあくまで目安です。ワニや恐竜など迫力のある動物が好きな子なら早い段階から興味を持つことがありますし、逆にリアルな動物画を怖がる子なら少し様子を見ながら読んでもよいでしょう。
読み聞かせに向いている?
『わにわにのおふろ』は読み聞かせとの相性がよい絵本です。文章量が多すぎず、わにわにの動作に合わせて独特の音が登場するので、読み手側も表現を付けやすくなっています。
最初は普通に読み、2回目以降は子どもが気に入った擬音を一緒に言うという読み方もできます。毎回同じ文章が読まれる安心感と、声に出す楽しさを組み合わせられます。
大人数への読み聞かせなら、大型版もあります。『大型絵本 わにわにのおふろ』は42×40cm・24ページで、広い場所での読み聞かせ向けとして刊行されています。[大型絵本版の作品情報]
少し怖そうな絵はデメリット?
購入前に知っておきたいのは、わにわにが一般的な「かわいい動物キャラクター」とはかなり違うことです。木版画で描かれたワニには重量感があり、表紙だけを見ると怖いと感じる子もいるでしょう。
しかし、この怖そうな外見は欠点というより作品の面白さを生み出している重要な要素です。もし、わにわにが最初から丸くてかわいいキャラクターだったら、「こんな迫力のあるワニがお風呂で楽しそうに遊んでいる」というギャップは弱くなります。
一方で、動物の怖い顔に敏感な子どもへプレゼントする場合は、書店や図書館で表紙を一度見せ、反応を確認してから選ぶ方法もあります。
どんな子に特におすすめ?
| タイプ | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| ワニ・恐竜などが好き | とてもおすすめ | 迫力のあるわにわにを楽しみやすい |
| 2~4歳くらい | とてもおすすめ | 出版社の対象年齢と合いやすい |
| 擬音が好き | とてもおすすめ | 声に出したくなる表現が多い |
| お風呂が好き | おすすめ | 日常体験と物語を重ねやすい |
| お風呂を嫌がる | 試す価値あり | 入浴を楽しいものとして描いている |
| かわいい絵だけを好む | 好みを確認 | 木版画のワニはかなり迫力がある |
特に「リアルな動物なのに行動がかわいい」というタイプのユーモアが好きな親子には相性のよい作品です。
シリーズの入口としてもおすすめ
『わにわにのおふろ』が気に入った場合は、同じ小風さちさん・山口マオさんによる「わにわに」シリーズを続けて楽しめます。
シリーズでは、お風呂だけでなく、お出かけ、食事、けがなどさまざまな出来事が描かれます。絵本ナビのシリーズ紹介でも、『わにわにのおでかけ』『わにわにのおおけが』など複数作品が紹介されています。[わにわにシリーズ]
一冊目でキャラクターを気に入れば、「次はわにわにが何をするんだろう」とシリーズを読む楽しみも生まれます。その意味でも『わにわにのおふろ』はシリーズの入口として選びやすい作品です。
大人が読んでも意外と面白い
対象は幼児ですが、大人が読み聞かせていても楽しめるポイントがあります。最大の理由は、子ども向けにワニを必要以上にかわいく描かず、堂々としたワニのまま日常生活をさせているところです。
大きく迫力のあるわにわにが、機嫌よくお風呂を満喫している。そのシュールさは、大人だからこそ面白く感じる部分でもあります。
また、子どもがどの場面で笑うのか、どの擬音をまねするのかを見ること自体も読み聞かせの楽しみになります。「子どものためだけに読む本」ではなく、親子で反応を共有しやすい作品といえるでしょう。
まとめ:『わにわにのおふろ』は2歳頃からの読み聞かせにおすすめ
小風さちさん文、山口マオさん絵の『わにわにのおふろ』は、2歳頃から楽しめる絵本としておすすめしやすい一冊です。福音館書店でも対象の目安は2才~とされています。
物語は、お風呂好きのワニ「わにわに」が、お湯につかり、おもちゃや泡で遊び、歌いながら入浴を満喫するというシンプルなものです。幼児自身の日常に近いため内容を理解しやすく、独特の擬音・擬態語が多いので読み聞かせにも向いています。
そして最大の魅力は、山口マオさんによる迫力ある木版画と、わにわにの愛嬌ある行動とのギャップです。かわいらしくデフォルメされた動物絵本とは違った個性があります。
ワニなどの動物が好きな子、お風呂が好きな子、面白い音をまねするのが好きな子には特におすすめです。反対にリアルで迫力のある動物画を怖がる子の場合は、まず図書館や書店で表紙を見せて反応を確認してもよいでしょう。シンプルな日常のお話、声に出したくなる言葉、強烈な絵の個性がうまく組み合わさった、親子で繰り返し読みやすい絵本です。


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