「以前読んだ漫画のタイトルが思い出せない」というとき、登場人物の名前よりも、特徴的な場面だけが記憶に残っていることがあります。たとえば「兎の亜人たちが過酷な訓練を受ける」「弱かった兎人族が戦闘集団へ変貌する」「敵を殺すことを楽しみかけ、仲間から諭される」といった場面です。
これらの特徴と非常によく一致する作品が、白米良による異世界ファンタジー『ありふれた職業で世界最強』です。原作は小説投稿サイト「小説家になろう」で公開され、オーバーラップ文庫から書籍化されているほか、コミカライズやテレビアニメにも展開されています。
特に重要なのが、兎人族のハウリア族と主人公・南雲ハジメの関係です。ハウリア族はもともと戦闘を好まない温和な一族ですが、ハジメによる極端な戦闘訓練を受けたことで、以前とは別人のような戦士集団へ変貌します。さらに、その後の戦闘では「殺しを楽しむこと」と「生き残るために敵を倒すこと」の違いを描いた場面まで登場します。
有力候補は『ありふれた職業で世界最強』
『ありふれた職業で世界最強』は、クラスメイトとともに異世界へ召喚された南雲ハジメを主人公とする作品です。ハジメは異世界では地味と見なされる「錬成師」という天職を与えられ、ある出来事をきっかけに迷宮の奈落へ落とされます。そこから生き残るために戦い続け、常識外れの戦闘能力を身につけていきます。
原作Web版は白米良名義で公開されており、本編完結後もアフターストーリーが掲載されています。原作ページでは書籍版、漫画版、アニメなどへの展開についても案内されています。[参照:小説家になろう『ありふれた職業で世界最強』]
そして、記憶にある「兎の亜人」に相当するのが兎人族ハウリアです。ヒロインの一人であるシア・ハウリアも、このハウリア族の族長の娘です。
ハウリア族はもともと戦闘とは縁遠い兎人族だった
ハウリア族を探している漫画の手掛かりとして重要なのが、彼らが最初から屈強な戦士だったわけではない点です。むしろ初期のハウリア族は、争いを嫌う非常に温和な性格として描かれています。
原作Web版でも、訓練開始直後のハウリア族は魔物を倒しただけで罪悪感を抱き、倒した魔物に謝罪してしまうほどでした。戦う能力以前に、相手を傷つけることへの心理的な抵抗が非常に強かったわけです。[参照:原作Web版「生き残る唯一の道?」]
ところが彼らを取り巻く環境は安全ではありません。自分たちや家族を守るには戦えるようになる必要があり、そこでハジメがハウリア族に戦闘訓練を施します。この「温和な兎人族を強制的に戦える集団へ鍛える」という流れが、作品の中でもかなり印象的なエピソードになっています。
ハジメの訓練はまさにブートキャンプ状態
ハジメが行ったのは、一般的な意味での穏やかな修行ではありません。ハウリア族が戦場で生き残れるよう、戦闘に対する心理的抵抗まで取り除いていく非常に過酷な訓練でした。
原作では、この訓練について「十日間」にわたる過酷な特訓だったことが描かれています。危機察知能力や隠密能力という兎人族本来の長所を生かしながら、小太刀、投擲武器、スリングショット、クロスボウなどを扱える戦闘集団へ成長していきます。[参照:原作Web版「ハジメの失敗」]
つまり、「兎の亜人たちにブートキャンプのようなことをして鍛えていた」という記憶は、『ありふれた職業で世界最強』のハウリア族編とかなり強く一致します。
弱かった兎人族が恐ろしい戦闘集団へ豹変する
訓練後のハウリア族は、以前の姿からは想像できないほど変わります。彼らは単純な腕力で強敵を圧倒するというより、兎人族がもともと得意としていた索敵、隠密、奇襲、連携といった能力を戦闘へ転用します。
原作では、亜人族の中でも戦闘能力が低いと見られていた兎人族が、戦闘に長けた熊人族を追い詰める場面があります。霧の中からの狙撃や奇襲、複数人による連携など、まるで特殊部隊のような戦い方をするまでになります。
しかも性格まで豹変しており、戦闘中には荒々しい言葉を口にします。周囲から「本当にあの兎人族なのか」と驚かれるほどなので、「兎の亜人たちがムキムキな軍隊のようになった」という記憶とも結び付きやすい場面です。ただし、原作上のポイントは必ずしも全員の肉体が文字通り筋骨隆々になったことではなく、温和だった集団が恐ろしく好戦的な戦闘集団へ変貌したことにあります。
「殺すことを楽しみ始める」という記憶まで一致する
この作品で候補としての確度を大きく高めるのが、ハウリア族が初めて本格的な対人戦を経験する場面です。訓練によって戦えるようになった彼らは、敵を圧倒する中で次第に高揚し、必要以上に戦闘そのものを楽しむ状態になってしまいます。
原作では、ハウリア族が敵を攻撃しながら楽しそうに振る舞い、力に酔ったような状態になったことが明確に描かれています。最初は魔物を倒しただけでも罪悪感を抱いていた一族が、反対方向へ振り切れてしまったわけです。
ここで物語は単純な「弱い兎人族が強くなって爽快」という展開だけでは終わりません。強くなった後に、その力をどのような精神状態で使うのかという問題が描かれます。
シアが「襲ってきた帝国兵と同じ」と諭す
暴走しかけたハウリア族を止めるのが、同じハウリア族のシアです。シアは敵から攻撃されている以上、戦うことそのものを否定しているわけではありません。問題にしたのは、相手を殺したり苦しめたりすること自体を楽しんでいることでした。
シアは、ハジメは敵には容赦しないものの、殺すことそのものを楽しんではいなかったと指摘します。そして決定的なのが、暴走する家族たちの姿について、かつて自分たちを襲った帝国兵のようだと告げる場面です。
原作では、帝国兵によって家族を奪われたハウリア族にとって、この指摘が強烈な意味を持ちます。自分たちが憎んでいた者たちと同じように、相手を苦しめることを楽しむ側へ変わりかけていたことに気づき、冷静さを取り戻します。[参照:原作Web版「ハジメの失敗」]
「それでは仇と同じになる」という記憶はかなり近い
記憶の中にある「殺すことに快楽を覚えそうになったところを、それでは仇と同じになってしまうと諭された」という部分は、原作の表現そのままではないものの、このシーンの内容と非常によく一致します。
正確には、シアが「仇と同じ」という言葉だけで説教するというより、殺しを楽しむハウリア族の姿が、自分たちの家族を奪った帝国兵のようになっていると指摘する展開です。
記憶は年月が経つと台詞そのものより「場面の意味」が残ることがあります。そのため「敵討ちをする兎人族が、殺戮を楽しみ始め、主人公側から仇と同じになると止められる」と覚えていたとしても不思議ではありません。
ハジメ自身も訓練のやり方を反省している
この一件では、シアだけでなくハジメにも重要な描写があります。ハジメは、ハウリア族が暴走しかけた原因について、自分の訓練にも問題があったことを認めます。
ハジメ自身は極限状態を経験しており、敵を倒すことへの精神的な抵抗がかなり薄くなっています。その感覚を基準にハウリア族を鍛えてしまったため、初めて人を殺した際に生じる心理的な衝撃を十分考慮できていませんでした。
原作ではハジメがその点を自分のミスとして認める場面があります。単に兎人族を凶暴な軍隊へ改造したというギャグだけではなく、過剰な訓練によって精神まで危うく変えてしまったという一連の流れになっています。
漫画で読んだ記憶でも矛盾しない
『ありふれた職業で世界最強』はWeb小説・ライトノベルだけではなく、漫画版も存在します。そのため「漫画だった気がするが、なろう原作だったかもしれない」という記憶とも整合します。
原作は「小説家になろう」発の作品で、その後オーバーラップ文庫から書籍化され、コミカライズされています。原作Web版の作品紹介でも漫画版が刊行されていることが案内されています。[参照:『ありふれた職業で世界最強』原作Web版]
またテレビアニメ版も制作されているため、漫画・小説・アニメの複数媒体に触れている場合には、それぞれの場面が混ざって記憶されている可能性もあります。
記憶している特徴を照合すると一致点が多い
探している作品の特徴と『ありふれた職業で世界最強』を整理すると、次のようになります。
| 記憶している特徴 | 『ありふれた職業で世界最強』との一致 |
|---|---|
| 兎の亜人が登場する | 兎人族のハウリア族が登場 |
| 主人公側が兎人族を鍛える | 南雲ハジメがハウリア族を訓練 |
| ブートキャンプのような過酷な訓練 | 十日間に及ぶ非常に過酷な戦闘訓練が描かれる |
| 弱かった兎人族が軍隊のようになる | 隠密・奇襲・狙撃・連携を駆使する戦闘集団へ変貌 |
| 殺すことを楽しみかける | 初の対人戦で高揚し、敵をいたぶることを楽しみ始める |
| それでは敵と同じだと諭される | シアが「自分たちを襲った帝国兵のようだ」と指摘 |
| なろう原作かもしれない | 「小説家になろう」発の作品 |
| 漫画で読んだ可能性がある | コミカライズ版あり |
特に「兎人族」「過酷な訓練」「戦闘集団への豹変」だけなら似た作品が存在する可能性がありますが、「殺すことを楽しみ始め、それでは自分たちを襲った者と同じだと仲間から止められる」まで一致する点はかなり特徴的です。
確認するならハウリア族関連のエピソードをチェック
記憶している作品か確認したい場合は、『ありふれた職業で世界最強』の序盤に登場するシア・ハウリアとハウリア族関連のエピソードを確認すると判断しやすいでしょう。
Web原作では第二章の「生き残る唯一の道?」でハウリア族の訓練が描かれ、その後の「ハジメの失敗」で訓練を終えたハウリア族の戦闘と暴走、シアによる制止が描かれています。
とくに「ハジメの失敗」は記憶との一致を確認するうえで重要です。熊人族との戦闘、豹変したハウリア族、殺しを楽しみ始める一族、シアの説得という一連の要素を確認できます。
まとめ:探している漫画は『ありふれた職業で世界最強』の可能性が非常に高い
「兎の亜人をブートキャンプのような訓練で鍛える」「弱かった兎人族が恐ろしく強い戦闘集団になる」「殺すことを楽しみ始める」「それでは自分たちを襲った者たちと同じだと諭される」という記憶から考えると、探している作品の有力候補は白米良『ありふれた職業で世界最強』です。
作品に登場するハウリア族は、もともとは争いを苦手とする温和な兎人族でした。しかし南雲ハジメの過酷な訓練によって、隠密・奇襲・狙撃・連携を得意とする強力な戦闘集団へ変貌します。
さらに初めての本格的な対人戦では、力を得た高揚から殺しを楽しみかけます。そこでシアが、今の彼らは自分たちの家族を奪った帝国兵のようになっていると指摘し、一族が正気を取り戻します。この部分は「殺すことに快楽を覚えそうになり、それでは仇と同じだと諭された」という記憶とほぼ同じ構図です。
兎人族・ブートキャンプ・戦闘集団への豹変・殺戮への高揚・シアによる制止という複数の特徴が一致するため、『ありふれた職業で世界最強』を最初に確認するのがよいでしょう。


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