グリム童話には、現在広く知られているディズニー作品や児童向け絵本とは異なり、初期の版では残酷な描写や大人向けの内容を含む物語も多く存在しました。そのため「削除や改変されていない本当のグリム童話を読みたい」と考える人も少なくありません。
日本語で読む場合、代表的な選択肢としてちくま文庫の『完訳グリム童話集』や岩波文庫の『グリム童話集』があります。それぞれ特徴が異なるため、何を重視するかによって選ぶ本は変わります。
グリム童話はなぜ削除や改変が行われたのか
グリム兄弟が19世紀にまとめた『子どもと家庭のための童話集』は、最初から現在のような子ども向けの優しい物語だったわけではありません。
初期のグリム童話には、暴力的な場面、死刑や虐待、性的な表現など、現代の児童文学では扱いにくい内容も含まれていました。
その後、版を重ねる中でグリム兄弟自身による修正や、出版社による編集が加えられ、より家庭で読みやすい内容へ変化していきました。そのため「ありのままのグリム童話」を読むには、どの版を翻訳した本なのかを確認することが重要です。
ちくま文庫『完訳グリム童話集』の特徴
ちくま文庫の『完訳グリム童話集』は、グリム童話をできるだけ省略せず収録した翻訳として知られています。
児童向けに内容を整えた本とは違い、グリム兄弟がまとめた物語の雰囲気や、時代背景を感じながら読むことができます。
例えば「白雪姫」や「灰かぶり姫(シンデレラ)」など、現在では美しく整理された物語でも、原典に近い形では登場人物の行動や結末に違いがあります。そうした違いを楽しみたい人には向いています。
岩波文庫『グリム童話集』の特徴
岩波文庫版の『グリム童話集』も、文学作品としてグリム童話を味わいたい人に人気があります。
岩波文庫は文学研究の分野でも長く利用されてきたシリーズで、読みやすさと文学的価値のバランスを重視しています。
ただし、収録内容や翻訳方針は版によって異なるため、「削除された話をできるだけ探したい」という目的の場合は、収録作品数や底本について確認すると安心です。
ありのままのグリム童話を読みたい人にはどちらがおすすめか
グリム兄弟の童話をできるだけ完全な形で読みたい場合は、一般的にはちくま文庫の『完訳グリム童話集』が候補になります。
「有名な話だけではなく、知られていない作品や初期の雰囲気も楽しみたい」「児童向けではない本来のグリム童話を知りたい」という人には、完訳版の方が目的に合いやすいでしょう。
一方で、文学作品として美しい日本語で読みたい場合や、研究的な視点でグリム童話に触れたい場合は岩波文庫版も魅力があります。
削除された有名なグリム童話の例
グリム童話には、現在の子ども向け作品では省略されることがある話や描写があります。
例えば「ラプンツェル」では、初期の内容には妊娠に関する描写が含まれていました。また「灰かぶり姫」では、義姉たちが靴に足を合わせるために自分の足を傷つける場面があります。
こうした表現は、物語が本来持っていた社会観や当時の価値観を知る手掛かりにもなります。
まとめ|本来のグリム童話を知りたいなら完訳版を選ぶ価値がある
グリム童話は、長い歴史の中で何度も編集され、現在知られている形になりました。そのため「子ども向けの優しい童話」だけではなく、元々の民話としての姿を知りたい場合は翻訳や収録方針を見ることが大切です。
削除や改変された部分を含めてグリム童話の本来の姿を楽しみたいなら、ちくま文庫の『完訳グリム童話集』は有力な選択肢です。文学としてじっくり味わいたい場合は岩波文庫版も含め、自分の目的に合った一冊を選ぶとよいでしょう。


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