『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』のWeb版で描かれる龍神オルステッドとエリスの戦いは、作中でも特に印象的な場面の一つです。その中で剣神ガルが語った「オルステッドは初めて見る技を観察しようとする」という弱点について、ループを繰り返しているオルステッドなら過去の戦闘経験ですべて把握しているのではないか、という疑問を持つ読者もいます。この記事では、その場面の意味やオルステッドのループ能力、ガルの助言が成立する理由について整理して解説します。
オルステッドはすべての未来を完全に記憶しているわけではない
まず重要なのは、オルステッドの時間跳躍能力は「何度も人生をやり直せる能力」ですが、過去のすべての周回で起きた出来事を完全に記憶しているわけではないという点です。
オルステッドは龍神の呪いによって人々から忌避される存在であり、父である初代龍神を倒すために何度も世界を巡っています。しかし、そのループで得た情報をすべて保持しているわけではなく、基本的には現在の周回で経験したことを基準に行動しています。
そのため「過去の周回でガルと戦った経験があるから、ガルの技は全部知っているはず」という考え方は、オルステッドの能力を少し誤解した見方になります。
オルステッドが警戒するのは未知の技術や予想外の成長
剣神ガルの言葉で重要なのは、「技そのものを知らない」という意味だけではありません。
オルステッドほどの戦闘能力を持つ人物でも、相手がどのような成長を遂げ、どのような新しい技や戦術を身につけているかは、その時点では判断できません。
例えば、同じ剣士でも十年前と現在では戦い方が変化している可能性があります。過去の記録があったとしても、現在のエリスがどこまで成長しているか、新しい技を使うのかまでは事前に完全には分かりません。
ガルの助言はオルステッドの性格を突いたもの
ガルが見抜いた弱点は、単純な知識不足ではなく、オルステッドの戦闘スタイルに関するものです。
オルステッドは圧倒的な実力を持っているため、普段は相手を瞬時に倒すことも可能です。しかし、強敵や未知の技術を持つ相手と戦う際には、相手の能力を分析しようとする傾向があります。
この「観察する」という行動によって、わずかな隙が生まれる可能性があります。ガルはそこに勝機を見出し、エリスへ伝えたのです。
エリスの強さは過去の剣神流の再現ではない
もう一つのポイントは、エリス自身が過去の剣士たちとは異なる存在であることです。
エリスは剣神流の使い手として才能を伸ばし、荒々しく直感的な戦闘センスを持っています。特に実戦の中で成長するタイプであり、過去の誰かと同じ動きをするだけの剣士ではありません。
オルステッドが過去の周回で剣神流の達人と戦った経験があったとしても、「現在のエリスがどのような戦い方をするか」は別問題になります。
これはご都合展開なのか?という疑問について
物語上、エリスがオルステッドに一矢報いる展開には演出的な意味もあります。しかし、単純に作者が都合よく弱点を設定したというより、オルステッドというキャラクターの性質を利用した展開と考えることができます。
オルステッドは作中でも最高峰の戦闘能力を持つ存在ですが、万能ではありません。強すぎるからこそ、相手を理解しようとする姿勢や慎重さが逆に隙になるという、人間的な部分が描かれています。
もしオルステッドが未来のすべてを完全記憶しており、相手の行動も完全予測できる存在なら、物語上の戦いは成立しません。そのため、彼の能力には制限があり、その制限がガルの助言につながっています。
まとめ
剣神ガルが語った「オルステッドは初めて見る技を観察する」という弱点は、過去のループですべてを知っているはずなのに矛盾している、という設定ではありません。
オルステッドはループ経験を持っていますが、過去のすべての出来事を完全に記憶しているわけではなく、さらに現在のエリスの成長や新しい戦い方までは把握できません。
この場面は、圧倒的な力を持つ龍神オルステッドにも分析癖という隙があり、そこを剣神ガルが見抜いた場面として描かれています。エリスの戦闘能力とガルの経験が組み合わさったからこそ成立した戦いと言えるでしょう。


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