ミステリ小説でよく見られるトリックのひとつに、「円柱形や正多角形の建物が回転して部屋の位置関係が変化する」というものがあります。このトリックは、昔から使われてきたアイディアですが、どの作品が初めて使ったのか、またどの作品がこのトリックを有名にしたのかについては、少し調べてみる価値があります。この記事では、このトリックに関する歴史と有名な例を紹介します。
1. 「回転する建物」というアイディアの起源
「回転する建物」のアイディア自体は、初期のミステリ小説には多く見られませんでしたが、20世紀初頭の作品の中で徐々に登場するようになりました。このトリックの特徴は、物理的に不可能な設定を用い、読者を驚かせる点にあります。実際、このトリックが使われる背景として、当時の建築物に対する関心や、実際に回転する建物を作ることに挑戦した技術者たちの存在が影響しているかもしれません。
この手法が本格的に用いられるようになったのは、やはり20世紀に入ってからです。特に、サスペンスやスリラー小説での人気が高まり、建物の回転という設定が物語を盛り上げるために使われるようになりました。
2. 初期の有名なミステリ作品における使用例
「回転する建物」のトリックが初めて登場したとされる作品としては、アガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』や、横溝正史の『十角館の殺人』などが挙げられます。特に、横溝正史の作品では、舞台として使われる建物自体が一種のキャラクターのように扱われ、トリックを支える重要な役割を果たします。
また、これらの作品では、建物の形状や内部の配置が物語の進行に直接影響を与えるため、回転する建物というアイディアが効果的に使われているのです。これらの作品が登場することによって、回転する建物は読者にとって非常にインパクトのあるトリックとして定着しました。
3. 現代のミステリ作品での使われ方
現在では、「回転する建物」のトリックは使い古されたものとされることが多く、軽く紹介される程度のことが多くなっています。しかし、それでもこのトリックを効果的に使うことで、作品に新たな魅力を加えることができます。
たとえば、最近のミステリ小説『誰も僕を裁けない』では、回転する建物が物語の中でその可能性が示唆され、読者に新たな興奮を提供しています。このように、トリックが進化を遂げ、次世代のミステリ作家によって新たな形で使われ続けていることは、古典的な手法がまだ強い影響力を持っている証拠です。
4. 他のジャンルでの使用例
このトリックはミステリ小説だけでなく、映画や漫画など、さまざまなメディアで使用されることもあります。映画では、例えば『インセプション』のような作品で、建物の回転や崩壊などが重要なシーンとして描かれます。こうしたビジュアル的なインパクトは、観客に強烈な印象を与えるため、映画やドラマでの使用も増えてきています。
また、漫画やアニメでも、この手法が用いられることがあり、登場人物が遭遇する不可能な状況やトリックを描く際に、建物の変形や回転が重要な役割を果たします。
まとめ
「回転する建物」のトリックは、ミステリ文学において初めは驚きと興奮を呼び起こし、多くの作品で用いられてきました。特に『オリエント急行の殺人』や『十角館の殺人』などの名作において、このトリックはその独特の魅力を発揮しています。現代では使い古された手法とされがちですが、それでも新たな形でこのトリックを使用することで、作品に新しい命を吹き込むことが可能です。
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