週刊誌・月刊誌における「喫煙」「暴力」「未成年飲酒」の描写規制と雑誌出版の実情

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週刊誌や月刊誌等の雑誌媒体において、「未成年の喫煙・飲酒」「暴力描写」などが“完全に禁止”されているのか―その実情を、法律・業界自主規制・実務上の注意点から整理してご紹介します。

雑誌における法的規制の基本

日本国内では、未成年者の飲酒・喫煙はそれぞれ「未成年者飲酒禁止法」「未成年者喫煙禁止法」等で禁止されています。ただし、これらは実際に取引・提供する側(未成年に酒・タバコを売る等)を規制するもので、雑誌掲載の描写そのものを直接禁止する法律ではありません。

つまり、雑誌内で未成年が飲酒・喫煙している描写を見かけること自体が法律違反というわけではなく、〈それを肯定的・誘導的に描くかどうか〉や〈販売/頒布先が青少年かどうか〉といった点が問題となる傾向があります。

出版業界・雑誌屋の自主規制と「暴力」「喫煙・飲酒」描写

出版業界では、出版倫理協議会(出倫協)などが雑誌の自主規制の枠組みを設けています。例えば、同協議会に設置された出版ゾーニング委員会が定める運営要領には、雑誌類のうち「著しく暴力的ないし残虐な表現があり青少年に不適当であると認められる雑誌類」には識別マークを表示し、区分陳列を促すとされています。([参照](https://www.jbpa.or.jp/nenshi/pdf/0311.pdf))

このように、雑誌の内容が「青少年に不適当」と判断されれば、その雑誌は成人向け扱いとなり、未成年が手に入りにくい販売環境へ誘導される仕組みがあります。

「未成年による飲酒・喫煙」「暴力描写」は“描けない”わけではない

重要なのは、禁止ではなく「表現の仕方・意図・対象年齢・読者層との関係性」が焦点になるという点です。

例えば、映像・放送業界向けのガイドラインには「未成年者の喫煙、飲酒を肯定するような取り扱いはしない」との記載があります。([参照](https://tv-aichi.co.jp/tva/kijyun/pdf/kijyun01.pdf))

雑誌においても類似の考え方が踏襲されており、未成年がアルコール・タバコを吸う描写があっても「肯定的/誘導的・社会通念を逸脱」していない限り、直ちに自主規制対象になるわけではありません。また、暴力描写についても「著しく残虐・過度に誇張されたもの」はゾーニング対象となります。

販売形態・読者年齢/雑誌ジャンル別の実務的配慮

週刊誌・月刊誌という枠組みにおいて、「一般向け (老若男女)」「成人向け(18歳以上推奨)」「青年誌」「グラビア誌」などジャンルや読者年齢帯が異なります。実務では以下のような配慮がなされます。

  • 読者年齢層が広い一般誌では、未成年の喫煙・飲酒描写を扱う際は“飲酒は20歳以上”と明記したり、場面を慎重に扱ったりすることが多い。
  • 成人向け雑誌では、読者対象が成人であることを前提に、暴力・喫煙・飲酒描写をある程度許容する編集方針を採る場合がありますが、その際も「青少年に誤認されない区分販売」「成人マーク表示」「店頭では成人コーナー陳列」など販売面での管理がなされます。
  • 特に未成年への飲酒・喫煙を誘導・推奨するような描写や、犯罪・暴力行為を肯定するような構成は、雑誌の自主規制制度で警告・識別マーク対象になっています。

まとめ

週刊誌・月刊誌において「タバコや暴力、未成年飲酒の描写が完全禁止」という一般ルールは、制度として一律には定められていません。しかし、「未成年の飲酒・喫煙を誘導または肯定しない」「暴力・残虐描写を過度に誇張しない」という自主規制の枠組みが重要な役割を果たしています。

雑誌の読者年齢・コンテンツジャンル・販売形態(一般向け/成人向け)を踏まえた上で、どのような描写が許容されているか・どのように区分されているかを理解しておくことが大切です。

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