シェットランド・シープドッグの甲状腺機能低下症とてんかん:発症リスクとケアのポイント

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人気の牧羊犬種であるシェットランド・シープドッグ(通称シェルティ)は、「甲状腺機能低下症(低下甲状腺ホルモン症)」や「てんかん(発作性神経疾患)」の発症率が高い犬種か、という疑問がしばしば飼い主から寄せられます。本記事では、最新の獣医学研究やブリーディング界の情報をもとに、これらの疾患におけるシェルティのリスクと、その対策について整理します。

甲状腺機能低下症とは何か

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモン(T4・fT4)が十分に分泌されず、代謝低下・体重増加・毛・皮膚症状などを伴う疾患です。犬では比較的頻度の高い内分泌疾患のひとつです。[参照]

特定の犬種に発症リスクが高いという報告もあり、獣医学文献では“Golden Retrievers・Dobermans・シェルティなど”と記載された情報もあります。[参照]

シェルティと甲状腺機能低下症:発症リスクの実際

複数研究で、シェルティが甲状腺機能低下症の“高いオッズ比”であると報告されています。たとえば、英国の犬臨床医療データ(VetCompass)ではシェルティを含む複数犬種が「甲状腺機能低下症のオッズ上昇(リスク増)」を示しました。[参照]

ただし、「高リスク=必ず発症する」という意味ではなく、あくまで「同犬種の平均と比べてやや発症しやすい可能性がある」という程度の意味で捉えることが重要です。

てんかん(発作性神経疾患)とは何か

犬のてんかん、特に「特発性(遺伝性)てんかん」は、原因が明確でないまま反復発作を示す神経疾患です。犬一般の発生頻度は0.5〜5 %程度と報告されています。[参照]

特定犬種では遺伝性てんかんや家系性発作が確認されており、前頭葉などに発作巣が検出された研究がシェルティでも行われています。[参照]

シェルティとてんかん:どれくらい“高い”か?

シェルティにおけるてんかんの疫学データは限られており、明確に「他犬種比で非常に高い」という定量的証拠は見つかっていません。ただ、一部の研究では「シェルティ血統内で家系的なてんかん症例」が報告されており、特定血統では注意が必要です。[参照]

そのため「てんかんが発症しやすい犬種」と言い切るのは現時点では慎重にすべきですが、シェルティを飼養・ブリーディングする際には“てんかんに関連する家系・発作歴”を確認する価値があります。

リスク管理と飼い主としてできるケア

シェルティを飼う・迎える際に抑えておきたいポイントを以下にまとめます。

  • 定期的な甲状腺検査:血液検査でT4・fT4・TSH等の測定を年1回程度実施し、体調変化・皮膚・毛・体重の変化に注意することが推奨されます。
  • 発作歴・家系の確認:もしてんかん発作やその家系がある場合、獣医師に相談し、発作の兆候(痙攣・意識消失など)を把握するとともに、震え・異常行動の初期兆候に備えることが有効です。
  • 健康的な生活維持:適切な体重・皮膚状態・運動量を保つことで、甲状腺機能低下や発作リスクを“完全に防ぐ”わけではありませんが、発症後の影響を軽減することに寄与します。

まとめ

シェットランド・シープドッグは、甲状腺機能低下症に関して「平均的な犬種と比べてやや発症リスクが高め」という研究報告がありますが、てんかんに関しては「明確に他犬種より極端に高い」と断定できる確固たるデータは現状少ないです。

重要なのは、飼い主として「リスクがゼロではない」ことを認識し、定期検査・観察・信頼できるブリーダー選びによって早期発見・早期対策を心がけることです。愛犬シェルティが健やかに暮らせるよう、日頃のケアと獣医師との連携を実践しましょう。

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