三人称一元視点の使い方と具体的な表現方法:小説の書き方

小説

三人称一元視点(第三者視点)は、物語を進行させるために広く使用されている視点の一つです。しかし、特に初めて使う際には、どのように登場人物の心情や出来事を描写すべきかが悩みどころです。今回は、三人称一元視点での表現方法について解説し、質問に対する具体的なアドバイスを提供します。

三人称一元視点とは?

三人称一元視点は、物語の中で一人のキャラクターの視点に限定して、その人物の思考、感情、行動を描く視点です。この視点では、登場人物の外側の状況は描写できても、その人物の意識の中で何が起こっているのかが主要な焦点になります。

登場人物の行動と見えない部分の描写

質問の中で、Aさんが財布を落としてBさんがそれを拾う場面について触れています。三人称一元視点でこの場面を描写する際、Aさんの視点を中心に物語を進める必要があります。AさんがBさんを見ていない場合でも、Aさんが気づかないBさんの行動を「後ろを歩いていたBが~」のように描くのは問題ありません。AさんがBの行動を知らないとしても、読者にはその情報が提供されることで物語の進行が理解できるからです。

名前の登場タイミングについて

AさんがBさんの名前を知っていない場合でも、三人称一元視点では登場人物が心の中でその人物をどう感じているかを表現できます。Aさんの視点から物事を描写するため、Bさんの名前を急に登場させることは避け、AさんがBを「後ろの人」や「拾ってくれた人」などと認識している場面から描写を始めると自然です。

心の声の表現方法

三人称一元視点では、登場人物の内面をどのように表現するかが重要です。Aさんの心の声を地の文として表現するのか、ダイアログ形式で表現するのかは、文体やストーリーに応じて使い分けます。Aさんが「優しい人に拾ってもらえてよかった」と思った場面では、内面の思考を地の文で表現することが一般的です。この場合、「優しい人に拾ってもらえてよかった」という思いをそのまま地の文で述べることもできます。

具体的な表現方法の例

例えば、以下のように三人称一元視点で表現できます。

Aは歩きながら、ふと足元に目を落とすと、財布が転がっていたことに気づいた。振り返ると、後ろを歩いていた人がその財布を拾い、静かにAに渡してくれる。

「落としましたよ」とその人は言った。

Aはただ驚くことしかできなかったが、心の中で、拾ってくれたその人が優しい人だと感じた。

まとめ

三人称一元視点では、物語の進行を一人のキャラクターの視点に焦点を当てて描きます。登場人物の行動や感情をどう描写するかが重要で、Aさんの心の中の思いをどのように伝えるかがカギになります。また、名前の登場や他のキャラクターの行動の描写方法も注意が必要ですが、視点を統一することで読者に自然な流れを提供できます。これらを意識して文章を進めることで、三人称一元視点をうまく使いこなせるようになります。

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