「小説家になろう」は、現在では異世界転生やファンタジー作品の宝庫として知られていますが、その歴史をたどると、ジャンルや文体の先駆けとなった作品が数多く存在します。本記事では「このジャンルの礎を築いた」といわれる代表的な作品や、流行を決定づけた名作について解説します。
「小説家になろう」の黎明期と特徴
小説家になろう(通称なろう)は2004年にサービスが開始され、当初はジャンルを問わず広く投稿される場でした。まだ「異世界転生」が定番になる前は、現代ファンタジーやSF、学園物なども多く見られました。黎明期のなろうでは、読者と作者の距離が近く、ランキングシステムが整備されていく過程で「人気ジャンル」が徐々に形成されていきました。
異世界転生ジャンルの先駆け
「なろう=異世界転生」というイメージを決定づけたのは、やはり『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』です。2012年から投稿が始まり、なろう発の大ヒット作として、現在の異世界転生ブームの火付け役となりました。主人公が赤ん坊から異世界で人生をやり直すという斬新な設定は、その後の多くの作品に影響を与えました。
また、ほぼ同時期に『Re:ゼロから始める異世界生活』も登場し、アニメ化を経て一般層にも「なろう作品」が広く知られるきっかけとなりました。
ハーレム・学園バトル系の開拓者
「異世界」だけでなく、「ハーレム」「学園バトル」もなろう文化を支えた柱です。たとえば、『ハイスクールD×D』など商業ライトノベルの影響を受けつつ、なろう発の作品でも同様の流れが強まりました。特に2000年代後半から2010年代前半にかけては、異能バトル系やハーレムラブコメが多数投稿され、のちの人気ジャンル定着に繋がりました。
読者層を広げた日常系・恋愛作品
「なろう=バトル」と思われがちですが、実際には恋愛や日常系の名作も少なくありません。『八男って、それはないでしょう!』のようなコメディ寄りの作品や、女性向け恋愛ジャンルである「乙女ゲーム転生」系の作品も、なろう内で大きく人気を伸ばしました。これらは男女問わず幅広い層に支持され、「なろう=異世界男性主人公物」という固定観念を広げていったのです。
まとめ
「小説家になろう」の先駆けといえる作品は一つに絞れませんが、異世界転生ジャンルを形作った『無職転生』、商業化の成功例となった『Re:ゼロ』、そして日常系や女性向けを開拓した多くの恋愛小説が、現在のネット小説文化を築く上で大きな役割を果たしました。ジャンルの歴史を振り返ると、自分の好みの作品を探す手がかりにもなるでしょう。
コメント